<いろんな教育のカタチ> ニュージーランドの教育④
今回はニュージーランド教育の日本にはない独自のシステムのうち、留学生にも身近なふたつについて触れたいと思います。ひとつ目はintegrated schoolsという特殊な学校の形態についてです。英語でintegratedとは「統合」や「一体化」という意味です。ニュージーランドのintegrated schoolsはかつて私立校であった学校が、1975年の法律改正により一部公立として運営されている学校のことで、弊社では『公私立校』と呼んでいます。これらの学校の土地や施設はかつてからの所有者によって引き続き維持運営されていますが、カリキュラムは公立校同様に全国一律のものが採用され、学校運営費や教師の給与は政府からの支援を受けています。公私立校は独自の教育や理念などの特徴は引き継がれて運営されており、その多くはカトリック系をはじめとした宗教色を持つ学校ですが、モンテッソーリやシュタイナーなど教育哲学に基づいた特色を有している学校もあります。公立校に近い学費設定でありながら、これら多様な特色の教育を享受できるという点が大きな魅力です。
弊社でも多くのintegrated schoolとつながりがありますが、南島最大の都市クライストチャーチにあるMiddleton Grange Schoolもその一つです。現在も弊社から数人の留学生が在籍していますが、キリスト教に基づいて幼稚園から高校までの一貫教育を提供しています。留学生受け入れ専門部門を構えて、豊富な英語学習サポートや手厚い生活面でのサポートがあるため、在籍する生徒の満足度も高いです。大学進学に向けたサポートにも重点を置き、アカデミック面でも定評のある学校です。さらに、北島のワンガヌイという地方都市にあるWhanganui Collegiate Schoolは非常に長い歴史を誇る寮制共学校です。地方の落ち着いた雰囲気に広がる広大なキャンパスは、ニュージーランド留学を有意義に過ごすことができる環境が整っています。当校はニュージーランド国内で3校のみが加盟している「ラウンドスクエア校」のひとつとして、学業のみならずスポーツや文化活動、社会貢献活動なども重視した全人教育が取り入れられています。(世界的な学校ネットワークであるラウンドスクエア(Round Square)については別の記事でより詳しく触れたいと思います。)
二つ目のニュージーランドならではの教育システムは、Intermediate Schoolの存在です。一般的なニュージーランドの学校は1~6年生が小学校、7~13年生が高校生ですが、小学校終了後の7、8年生の2年間をIntermediate Schoolで過ごすという選択肢があります。通常ニュージーランドでは、小学校は学ぶことの楽しさを知る期間と位置付けられていますが、高校に進学してからは学問的な学びが本格的に始まり、定期試験も導入されることから、小学校と高校のギャップがとても大きいと感じる生徒が多いと言われています。そこでIntermediate Schoolは、7、8年生に特化し段階的に高校での学習に移行するための準備期間としての教育プログラムや学習サポートが提供される点が魅力です。また学業面のみならず、この年代特有の自己成長を支援するため、リーダーシップや自己管理能力、責任感を養うための環境が整っており、その先の高校進学に向けての土台作りの助けになります。ニュージーランドの高校では高学年になるにつれて自身が希望する専門分野に応じ選択科目を絞っていくため、高校初期段階にあたる7、8年生時点で自分自身と向き合い自律性を高めることができる環境を与えられることは、その後の進級を見据えての大きな後押しになります。Intermediate Schoolは小学校から高校の間の学習の橋渡しをする存在として、重要な役割を担っています。
これら二つの例から、ニュージーランド教育の柔軟性や多様さを感じ取っていただけたでしょうか。留学されるご本人のみならずご家族の皆さまにも、日本の学校システムや学習環境に捉われない学び方の選択肢があることを、留学を通して知っていただけることが私たちの願いです。