この時期に弊社で出願のお手伝いをさせていただいている留学生の多くは、年明けから新学年度がスタートする南半球オセアニアの学校への入学者が多くを占めています。オーストラリアでは出願時点で一定の英語力を求められるのに対し、ニュージーランドは、英語力が限られた留学生でも、特に小学生高学年の年齢から受け入れが可能な学校が多く存在します。このため、弊社のお客様にとってニュージーランドはここ数年、渡航先としてトップの地位を占めています。私どもではニュージーランド全土各都市にアドバイザーを有する現地のオフィスと連携して、お問い合わせをいただく留学生やご家族の希望、性格、学習スタイルなどにマッチするよう学校を選定しています。

15年余り前の創業当初から、ニュージーランドは物価の安さや、身近に雄大な自然があることを理由に人気の留学先のひとつではありました。ただ最近では政府の教育への投資が後押しとなる形で世界的にも注目されつつあるニュージーランド独自の教育システムが、留学先として選ばれる理由となってきています。ここからいくつかの記事で、私どもがニュージーランド教育のどういった点に魅力を感じているか、について皆さんと共有できればと考えています。

第一回目の記事では、ニュージーランド教育の礎となる「テファリキ」について取り上げます。
　→　テファリキの詳細はこちら（NZ教育省のサイトより）

テファリキ【Te Whāriki】は、ニュージーランドの公用語として大切にされている先住民マオリ族の言葉で「織り込まれたマット」を意味します。この概念は、約30年前にニュージーランド政府によって制定された幼児教育カリキュラムの基本的な枠組みであり、4つのPrinciples（基本理念）と5つのStrands（分野）が交互に織り込まれている様子を表現しています。

Principles（基本理念）

Empowerment（エンパワーメント）
子どもが自らの学びや成長を選び、力を引き出すことを目指す
Holistic Development（ホリスティック・デベロップメント）
子どもの身体、心、知性、感情、社会的な面を統合的に育てる
Family and Community（家族とコミュニティ）
家族や地域が子どもの学びと成長に重要な役割を果たすことを認識する
Relationships（人間関係）
子どもが他者と関わり、協力し、互いに尊重することを学ぶ

Strands（分野）

Wellbeing（ウェルビーイング）
子どもの身体的、感情的な健康と幸福感を支える
Belonging（所属感）
子どもが自分の居場所を感じ、安心して所属できることを大切にする
Contribution（貢献）
子どもが自らの力を発揮し、他者に貢献できる環境を整える
Communication（コミュニケーション）
言語や非言語でのコミュニケーションスキルを育て、自己表現や思考を学ぶ
Exploration（探求）
子どもの好奇心を尊重し、探求し学ぶ経験を提供する

ニュージーランドの幼児教育の現場において実際に取り入れられているこの考え方が、小学校入学以降のニュージーランド教育の在り方の根幹となっています。子どもたちをどんな大人に育てたいか、どのような社会を目指しているかが、このテファリキに詰め込まれているように感じています。

国土面積は日本の4分の3、人口は500万人にも満たないこの島国が、教育の面で注目を集める理由を、現地での生活を通じて花開いている留学生の様子と共に、今後のシリーズでお伝えしていく予定です。