🦘カンガルー便り Vol.24
こんにちは。
シドニーより古賀です。
日本は夏休みに入り、今夏も多くの小中学生が海外教育研究所からサマースクールに参加されています。今回はこれまでと比べて小学校低学年の子どもたちの割合が非常に多く、コロナ禍を経て子どもたちを取り巻く環境では「英語」や「グローバル」といったワードがより一層存在感を増したように感じています。渡航前にはできる限りの心構えができるようにワークショップや資料で伝えさせていただくのですが、現地に到着するとホームシック、人間関係、英語でのコミュニケーションの壁など、様々な報告や相談に私たちも学ぶことが多い毎日です。日本のご家族の元での生活では体験できないこういった体験こそがサマースクール参加の意義でもあります。
サマースクールや留学に挑戦する子どもたちは確実に低年齢化していますが、そのことを背景になのか、ここ数年現地の学校スタッフやサポートスタッフから共通して耳にする苦言があります。それは、日本から留学してくる子どもたちが最低限のあいさつやお礼を言うことができないという点です。シドニーに来て私が感じることは、こちらでは子どもでもきちんと相手の目を見て大きな声であいさつしてくれることが多いです。親子間の会話でも、文末に「please」をつけるように親が子どもに促す光景がよく見られます。散歩をしている道すがら会ったことのない方とすれ違う時にも、目を合わして挨拶を交わし天気や日常の話に発展することも珍しくありません。お店で会計をする時には必ず「Hello. How are you?」「Thank you.」とコミュニケーションをとりますし、車を運転していて細い道を譲り合う時には譲ってもらった方が手を上げて感謝の意を示し相手がそれに答えて笑顔で手を上げます。このような場面に出会うたびにこの地域に迎え入れてもらっている気持ちになりますし、ただ無言で目を合わさず通り過ぎるより、例え言葉が確実に通じない相手とも距離が縮まる感じがします。これは単にこちら特有のフレンドリーでオープンな文化という位置づけ以上に、相手への関心や敬意を示すための最低限のマナーとして必要なやり取りになっているのだと感じています。「できたらいいね」というものではなく、「できなければ気持ちの良いコミュニケーションが成立しない」といった習慣であることを実感しています。
一方で私の子どもたちはこのようなあいさつがなかなか身に付きません。そして留学する子どもたちも学校やホストファミリーからこの点を指摘されることが多く、日本人のシャイさやあいまいな言葉や態度だけで表現することで通じ合うコミュニケーションに慣れてしまっていることが足をひっぱってしまっている事例がたくさんあります。基本的なことだからこそ、大人の私でも脱するのが難しい場面もありますが、意識一つでコミュニケーションをスムーズにできるカギでもあると感じていますので、世界のどこにいても自身の子どもたちには実践してほしいあり方だと感じています。
そんなサマースクールの準備や手続きに追われてカンガルー便りが滞ってしまっていたという言い訳はさておき、シドニーはここ一か月ほど、暦では真冬にも関わらず、清々しい晴れの日が続いています。私たちがオーストラリアに到着してからは山火事や雨続きなど不安定な気候しか経験していませんでしたが、これだけでもシドニーに来て良かったと思える温暖で過ごしやすい毎日に気持ちも上向きになります。