🦘カンガルー便り Vol.7
こちらにきてあっという間に9カ月が過ぎました。到着した時は真夏でしたが早くも季節が一巡りし、ここ数週間は日に日にシドニーが夏に向かっていることを実感します。日中は30度近くなることもあり、庭の芝生を刈っても二週間経つとあっという間にまた芝刈りが必要な状況です。NSW州のコロナウィルスの状況はここ数日市中感染が0~1件と、かなり安心して日常生活を送ることができています。
本日は次男の進学に関するホットなお話しです。
オーストラリアでは小学一年生の前の学年からが義務教育の開始で、その学年をNSW州ではKindergarten(QLD州やVIC州ではPrep、SA州ではReception)と呼んでおり、この学年は公立の小学校敷地内に教室があります(一部、私立幼稚園に併設されていることもあるようです)。実はこの義務教育の一年目をスタートさせるタイミングですが、日本で言う早生まれの月齢の子たちは一年間遅らせる選択肢があるのです。親が幼稚園や保育園の先生に意見を仰ぎながら、子どもの社会面、精神面、体力面、学習面での成長度合いを考慮して判断します。この制度があることで、例えばNSW州の場合は、入学後のクラス内での生徒の年齢差が最大で1歳半あるという状況です。その後に留年や飛び級といった特別なことがない限りは高校卒業まで所属する学年をKindergarten入学時に決定するということになりますので、義務教育開始前の子供を持つ親が集まれば、いつ自分の子供を入学させるかというのが、大きな話題のひとつとなります。
かく言う我が次男は現在Preschoolに通う4歳半、2021年度からはKindergartenに入学できますが、上記の制度を利用して入学を2022年に遅らせることもできるのです。語学面で同年代のお友達から後れを取っていることは明らかですので、入学のタイミングをずらしもう一年じっくりと語学力向上に集中できる選択肢があることは大変ありがたいと感じています。一方で入学を遅らせる場合の経済面での負担や帰国した際に日本の学年より後れを取ることなどを理由に、実際はまだ決定できずにいる私たちです。そろそろ決断のリミットが近づいています。
息子たちの語学力ですが、二人とも着実に上達していると感じます。
■ 長男の場合(8歳・小学二年生)
【リスニング】
・ 先生の指示は分かりやすくほとんど理解できる。
・ 教育番組で話される言葉は分からない単語があっても全体の進行は理解できる。
・ お友達の話し言葉を理解するのはまだ難しい。
【スピーキング】
・ 誰かに話しかけられて理解はできても、まだ返答には戸惑っている様子。
・ 「分かる単語だけでも発信する」「無反応ではなく表情で表す」など先生が助言くださっているよう。
【リーディング】
・ フォニックスが役に立ち口に出して読むスピードは上がっている。
・ 今後ボキャブラリーが増えることで全体から細部への理解力が高まってくれることを期待。
【ライティング】
・ きっちりきれいに書くことにやりがいを感じているようで宿題は時間がかかる。
・ 書きながら英語の基礎が身につくことを期待して見守っていきたい。
■ 次男の場合(4.5歳・年中)
自宅の近くにあるモンテッソーリ教育の幼稚園に通っています。語学習得という面においては、子供の個別の興味関心を、それぞれのレベルに応じて引き出し伸ばすことを方針とするモンテッソーリ教育の利点を最大限に享受しています。彼がオーストラリアに来る前に知っていた単語は「Hello」だけでしたが、今や数字や色、形、動物などを英語で覚えることが楽しくて仕方がない様子です。
長男が通う小学校は公立校ですが、英語で学業についていくのに支障がある生徒向けに無償で英語補助授業が提供されています。さすが移民が多いオーストラリアの学校らしく、むしろ公立校だからこそ入学したどの生徒も語学力を理由に後れを取ることのないように、該当する生徒の人数に合わせて専任の教師を学校に配置することが定められているそうです。息子は週1回ですが通常のクラスの授業から抜けて、専任の教師の元で学業に必要な英語の基礎を学んでいます。他に習熟度別という面では、例えば国語や算数の授業の際には、先生がクラスを3つほどのグループに分け、それぞれの理解度に応じた異なる課題を出します。息子が持ち帰る宿題が他のお友達と異なることも先日知りました。個別の理解度に応じた対応をすることが当然になっているという点は、日本とは異なる環境だと思います。クラスの全員が同じ内容を、同じ速さで理解することを目的とする日本の小学校と比べて、こちらは一定の全体目標はもちろんあるものの、個人の習熟度が異なることが前提にある教育環境であることは大きな違いであるように思います。この点に関しては背景や具体的な内容など、もう少しリサーチをしてみたいと思っています。