🦘カンガルー便り Vol.4
こんにちは。シドニーの古賀です。
こちらは日中15度~20度、朝晩は15度に届かない気温となり、私が住む築30年をゆうに超える古い家は断熱材が使用されていないため、朝ベッドから出ることが億劫な毎日になってきました。年間で一番寒くなるのは今月だそうですので、束の間の我慢です。
さて、小学二年生の息子の学校では、二学期に入り3週目からは通常登校が順調に続いています。この『通常』が何とありがたいことか。子どもたちの生活も規則正しいものに戻り、毎朝早く学校に行きたい息子に私は急かされながら送り出し、笑顔で下校してきています。通常登校に戻った当初は、先生方が<Crazy Hat Day>や<Costume Day>でおかしな格好をして子どもたちを笑顔にするための企画をしてくれたり、子どもたち全員がパジャマで登校する<Pajama Day>もありました。他方ではオンライン学習構築や運営に心を割いてくださった先生方への感謝の気持ちを表す意味で、PTAから先生たちへのメッセージカードを添えた手作りマフィンが職員室に送られました。全校集会がオンラインで実施されるなど、まだ至る所に規制が残る新しい日常の中でも、こういったイベントややり取りに心が温かくなります。
先日息子が帰宅早々に嬉々として見せてくれたのは、担任の先生からの表彰状でした。どのような機会に、何人が表彰されるのかなど、息子の話からはさっぱり分かりませんでしたが、とにかく息子は<新しい環境に一生懸命努力してなじんでいて素晴らしいで賞>をいただいたのです。クラスメイトの前で表彰状を手渡されて、先生から褒められたことが、彼にとってはとてもうれしかったようです。こちらではこのように、頑張っている子や、親切な行いをした子、良いお手本となっている子たちをみんなの前で定期的に表彰することがよくあるようです。先生からは、できていない部分をもっと頑張りましょうと言われることはほとんどなく、できている部分をたくさん褒めてくださっているようで、英語がまだまだで授業にはついていけていないであろう息子にとってのモチベーションになっていることが良く分かります。静かに人の話を聞いたら褒められ、発言したら褒められ、落ちている物を拾ったら褒められ、友達に優しくしたら褒められ、といった具合です。今学期も今週で終わってしまいます。来学期初めに発行される通知表と個別面談で、息子の学校での実態を詳しく見聞きすることができるのを楽しみにしています。
話は変わり、息子は学校指定のリュックサックで通学しますが、そのリュックサックに入っているものはお弁当、水筒、以上。息子の学年では教科書というものがなく、先生からのプリントやタブレット、或いは学校に置いてあるノートで学習が進みます。また週一回ずつの図書室や体育の日は決まっていますが、細かな教科の時間割がありませんので、日本の時と比べると毎日何を勉強しているのか親からは本当に見えません。例えば先日何を勉強したのか聞くと、「素材」の名前を書き出し(国語)→素材の種類ごとに分類し(理科)→その素材を使って音が出るものを作り(工作)→その音でみんなで合奏をする(音楽)といった具合です。また算数では、先日足し算をしていたかと思えば、次は割り算、掛け算と、同じプリント内に、私から見ると全く異なるレベル感の数式がごちゃ混ぜになって入ってきているのです。初めて習う息子にとっては特に違和感もないようですが、この横断的な学習方法は、日本の教育を経験した後に留学をする子たちにとっては、初めは大きな戸惑いになることと想像します。私が考えるこの学び方の良い部分は、社会の中の「点」に見えることが実はつながっていて「線」になったり、「円」になったりすることを実感できたりと、思考が柔軟に育つことかなと思っています。
昨日も学校が終わって帰ってくる息子に、「学校どうだった?」と聞くと、「楽しかった」と。「何が楽しかった?」と聞くと、「全部」と。とにかく楽しかったことは大きな安心ではありますが、もっと学校でのあれこれを細かく聞き出したい私は毎日この会話にモヤモヤが残ります。皆さまにも少しでもこちらの様子をお届けできるよう今後も頑張って聞き出していきたいと思います。